タワーマンションに新聞折込チラシが届きにくい３つの理由とは？

人気急上昇エリア「武蔵小杉」の新聞購読率は３割以下？

PUSH型のローカル広告として一般的な「新聞折込チラシ」。興味がある人が自ら探してくれるのを待つWEB広告と違い、商圏内の住民に対して企業側からメッセージを届けられるため店舗型ビジネスをしているような業界では、まだまだ効果的な広告手法です。ところが昨今の「新聞離れ」により、タワーマンションといわれるような住居には新聞折込チラシがかなり届きにくくなっています。

上記の表は人気急上昇のタワーマンションエリア「武蔵小杉」がある川崎市中原区の新聞各紙の購読率です（朝刊）。大手３紙と言われる読売新聞・朝日新聞・毎日新聞を合計した３紙合計の購読率はなんと32％、3件に2件の住宅には届いていない計算になります。日経新聞も合わせると40％の購読率になりますが、日経新聞は他の一般紙と併読している場合が多いため、実際のリーチ率はもっと少なくなることが予想されます。

しかも上記の数字は川崎市中原区の平均数値。武蔵小杉エリアの新聞販売店スタッフの話によると「タワーマンションに限定した場合、おそらく購読率は日経新聞を含めても3割を下回る」とのこと。なぜタワーマンションはこれほどまで、新聞購読率が低いのでしょうか？

理由①　タワーマンションは都市部に多い

一つ目の理由はタワーマンションの立地です。特に関東圏内のタワーマンションは、東京都の港区・中央区・江東区や神奈川の横浜市・川崎市など都市部に建っています。全国的に「都市部＝購読率が低い」という傾向がはっきりと表れています。

地方都市や郊外などに関しては、中京圏の中日新聞や九州圏の西日本新聞などに代表されるような、その地域に強い「地方新聞」などが強い基盤を持っており、今も高い購読率をキープしているところも珍しくありません。その一方、都市部では情報を入手できる方法が多様化しており、新聞離れが進んでいます。

また世帯の特徴として都市部には新聞をあまり購読しないような「一人暮らし世帯」が多いため、全体の購読率が低くなるという傾向があります。

理由②　引越しをきっかけに新聞をやめた

「住居の引越し」を機に今まで読んでいた新聞を購読しなくなったという人は意外と多くいます。購読を継続するためには、旧住所での購読停止手続きや新住所での開始手続きなど手間になることも多く、「新居が落ち着いたら購読しよう」と考えていた人が、気づいたら「もう新聞は必要ないな」となってしまうケースも珍しくありません。

タワーマンションは2000年以降での竣工が多いため、そこに住んでいる人たちもそれ以降に引越しをしてきた世帯です。特に武蔵小杉エリアでは2008年をきっかけにタワーマンションの建設が始まっているため、インターネットなどのメディア環境もすでに充実しており「もう新聞は必要ない」と考える人も少なくなかったのではないのでしょうか。

【武蔵小杉エリア　タワーマンションの竣工年月】

・THE KOSUGI TOWER 　 2008年5月

・パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー　 2008年8月

・ブリリア武蔵小杉　 2011年10月

・エクラスタワー武蔵小杉　 2013年2月

・パークシティ武蔵小杉ザグランドウイングタワー　2014年3月

理由③　30~40代の年齢層が多く・シニア層が少ない

3番目の理由は「タワーマンション世帯の年齢層」を要因としています。

上記のグラフは武蔵小杉駅周辺でタワーマンションが密集する町丁目の「新丸子東3丁目」の年齢別人口です。「30～40代」がかなり多く、「パパ・ママ・お子様」というファミリー世帯が多いことがデータからよく分かります。この「30~40代」は最も新聞離れが進んでいる年齢層と言われており、新聞は「電子版」で購読しているケースも多いため、武蔵小杉エリアの新聞購読率を下げる大きな原因になっています。
また比較的、新聞購読の割合が高いシニア層（60代以上）がタワーマンション世帯では少ないため、さらに新聞折込チラシが届きにくくなっているといえるのではないでしょうか。